オランダといえば風車とチューリップ。
広大な平地にチューリップ畑が広がり、遠くには風を受けて風車が回っている・・・このようなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?
実際に、日本人も好きなチューリップの花は、オランダのシンボルです。オランダのお土産ショップでは、チューリップの球根や、チューリップ・モチーフの商品がたくさん並んでいます。
オランダは、チューリップの生産量が世界一であり、チューリップは国花となっています。日本人にとってもチューリップは子供の頃からの歌にもありますし、お絵かきで描いてきた人も多いですよね。その可愛らしい姿に和まされ、チューリップは世界中で人気のある花です。
世界最大の花の卸売市場 アルスメール市場
オランダは土地の半分以上は農地で、施設園芸の技術が世界でもトップクラスです。農作物の7~8割は輸出用で、バラ、カーネーション、ユリ、チューリップなどが輸出額の上位を占めています。花産業(花き業界)はオランダの重要な産業なのです。
オランダには、アルスメール市場という世界最大の花の卸売市場があります。世界の6割の花はここで競りにかけられ、そしてまた世界へと輸出されていきます。
ユニークなのは、花のせりは「せり下げ」と言って、高い値段から始まって値を下げていく方法なのです。一般的には、「せり」というと最低価格から始まって値段があがっていくことをイメージしますが、花の場合は逆なのです。せり下げはオランダで考案され「ダッチオークション」とも呼ばれます。これは、大量に品種のある花を新鮮なうちに取引することと、後述するチューリップ・マニアの教訓を得たことから考えられたそうです。
こういった商売的な観点だけではなく、オランダ人は花が大好き!ヨーロッパにある寒くて長い冬を楽しく飾る花は、生活の中でとても大切な存在なのです。
オランダ人と花
オランダ人は花が大好きで、室内や窓辺に花を飾り、街中が花に溢れています。オランダ人のこの習慣を支えているのは、季節に合わせたさまざまな花を販売するフラワーショップです。日本では、フラワーショップは定番の花が中心で、季節のさまざまな花を買うことは難しいですね。
オランダには「パンを2つ買うお金があったらパンを一つと花を買う」という言葉もあるそうです。また、窓辺に花を飾ることは、自分のためだけではなく、通りかかる人に幸せをお裾分けするという意味合いもあるようです。素敵ですね。
オランダのチューリップ産業の歴史
オランダでチューリップの栽培が始まったのは1500年代。当時はチューリップは高貴な花として、王族や貴族など上流階級の人々の間でのみ愛されていました。次第に品種改良が比較的簡単にできることが分かり、ヨーロッパ全土でチューリップの改良ブームが起こります。
1630年代、チューリップが高値で取引されることに目をつけた投資家は、先物取引による投機目的でチューリップの球根を買いあさりました。そして1637年2月3日、バブルがはじけました。これは「チューリップ・マニア」と呼ばれ、経済史上はじめてのバブル現象と言われます。
その後1870年代には、花の温室栽培に成功し、1950年代には栽培環境をコンピュータで制御することで効率的な大量生産ができるようになり、管理力を高めていきました。
チューリップ トピック
チューリップは、花びらが開いたり閉じたりすることに気づかれたことはありますか? 傾熱性という働きのため、チューリップはおよそ20℃以上になると花びらを開き、10℃以下で閉じます。外が明るいか暗いかではなく、温度によって花びらを開閉させます。
オランダでチューリップが見られる場所
アムステルダム近くのキューケンホフ公園は、世界一のチューリップ公園です。チューリップ、ヒヤシンス、スイセン、バラなどおよそ700万株の花々が咲き、視界一面に花畑が広がります。見たことのないチューリップの品種に出会えることでしょう。花が見頃な時期は1年で7、8週間しかありませんので、時期を確認して訪れてくださいね。